佐藤寿人、森﨑浩司。それぞれの決断。

ベテランの処遇はいつだって難しい。

所属先への過去の貢献度が高ければ高いほど難しい。

一般企業であれば、ベテラン社員を減額したり、配置転換、もしくは解雇をするなどのリストラを断行した場合、コストカッターと言われる。そこには当然反発も生まれるが、会社の事情などを理解し、仕方ないことと割り切られる場合も多い。

だが、プロスポーツには「ファン」が存在する。

先ごろ3年連続フル出場を果たしながら来季の年俸を半額提示されたと言われる中澤佑二選手の処遇は、ベテラン選手とファンとのあり方を考えさせられる一件だ。

森﨑浩司は”サンフレッチェの象徴”として引退する

長らくサンフレッチェの象徴としてクラブに在籍してきた森﨑兄弟の弟、森﨑浩司選手は今期限りでの引退を発表した。ホーム最終戦は彼の引退試合と銘打たれ、多くのファンが別れを惜しんだ。

彼が苦しんだと言われる病については、本人は積極的に喋りたがるわけではないし、オフィシャルライターというフィルターを通じて伝え聞くことしかできないため、自分みたいな第三者が語って良いものではないだろう。ただ言えるのは、高い技術を持ちながら何度も怪我や病気に泣かされ続けてきた現役生活だったということだ。

ここ数年は稼働率から考えればいつ戦力外になってもおかしくはなかった。それでもクラブは彼に選手として契約を提示し続けた。それは彼がクラブへ貢献してきたことへ対しての敬意だったように見える。

プロスポーツ選手で水から引退を決めることが出来る選手は数少ない。森﨑浩司は久しぶりのスタメン出場でゴールを決めた試合で、自分自身の限界を感じ引退を決めたという。他のクラブに移ってまでサッカーを続けるつもりは無かったのだろう。ユースから広島一筋で戦い続けた彼の引退セレモニーは幸せそうに見えた。好きなクラブで、多くの人に見送られて引退出来ることが出来たのだ。

その光景の一部始終見ていた佐藤寿人は、一体何を感じただろう。彼もまた、サッカー人生の重大な岐路に立っている。

 佐藤寿人の決断はクラブの根幹にかかわる問題

以前運営していたブログで、森﨑兄弟がサンフレッチェの象徴ならば、佐藤寿人はサンフレッチェのアイコンだと書いた。それほど詳しくは無いがサンフレッチェを知っているという人の中では今でも「サンフレッチェ=佐藤寿人」だ。

今更このブログでサンフレッチェと佐藤寿人の関係性を語るつもりは無い。そんなことは私がここでわざわざ書かなくても、ファン1人1人にそれぞれ佐藤寿人との想い出があるだろう。

今季はシーズン途中からはベンチスタートがほとんどとなり、出番も僅か数分という事が多かった。力の衰えがあるのかと言われれば、まだそうは思わない。浩司とは違って、現在進行形で病や怪我に苦しんでいるわけではない。寿人が敬愛するインザーギは38歳まで現役を続けた。プレースタイルが合う所であれば、まだまだ輝ける。

かつて寿人は「サンフレッチェからいらないと言われるまでは広島にいたい」と語っていた。クラブは来季の契約オファーを出した。細かな内容までは解らないが、今季と同じく控えFWとしての打診であれば当然移籍も考えるだろう。佐藤寿人はサンフレッチェ広島の選手である前にプロサッカー選手だ。

サンフレッチェで過去同じ状況に置かれた選手と言えば、中島浩司、山岸智らがいた。「精神的支柱」といえば聞こえは良いが、実際には練習ではサブ組、試合では若手たちと共に出番を待ち続ける日々。両社ともクラブ晩年は実力・実績がありながらベンチメンバーとしてチームを支え続けた。

中嶋浩司は「広島を盛り上げたい」と引退後に起業し、今も広島に根を下ろして活動をする。山岸智は現役であることに拘り、J3大分に移籍。キャプテンを任されJ2昇格が目前に迫っている。それぞれの信念で、それぞれ違う道を歩んでいる。

佐藤寿人がどのような決断を下すかはわからない。自らの信念に基づいて決断をするだろう。

ではファンはどうすれば良いのか。それぞれの想いを表現すればいい。本人の意思を尊重し移籍先でも応援する、ありがとうと感謝の気持ちを伝える、行かないでくれと叫ぶ、方法は色々あり、正解などない。

ただクラブは、同じ退団するにしてもしこりを残すようなことは絶対に避けなければならない。もし、クラブが彼に対してリスペクト無き態度を取るのであれば、それはサンフレッチェというクラブの根幹にかかわる問題となる。

いずれにしろ、決断までそう時間は無い。

果たして佐藤寿人はどのような決断を下すのだろうか。

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