Jリーグ、2ステージ制の功罪を考える

2016年のJリーグチャンピオンシップは第一戦を落とした鹿島がアウェイに乗り込んで2対1で勝利し、見事に逆転優勝という結末に終わった。

様々な批判を浴びながらも2015年から導入された2ステージ制。昨年は年間勝ち点1位の広島がCSも勝ち抜きチャンピオンチームとなったっため、制度の理不尽を指摘されながらも、問題がそこまで大きくはならなかった。今年は年間勝ち点3位の鹿島がチャンピオンとなった為、改めて2ステージ制の是非が問われている。

ただ昨年同様、今年もこのレギュレーションでいくことは決まっていた。その中で鹿島は鹿島らしさを存分に発揮し、チャンピオンを勝ち取った。鹿島には堂々とチャンピオンを名乗る資格がある。鹿島アントラーズの選手、サポーターの方々には「おめでとうございます」以外の言葉はない。

そして周知のとおり来季はDAZNの巨額の放映権マネーが入ることが決まった。それに伴い来季からは1ステージ制に戻る事が決まっている。わずか2年間で2ステージ制は廃止される。この2ステージ制が残したものは一体なんだったのだろうか。

 あいまいになった各ステージの存在意義

まずは過去記事でJリーグ再建計画について書いた記事があるので興味のある方は読んでみてほしい。

【広島 スタジアム問題 5 】 「Jリーグ再建計画」を読んで考えるスタジアム問題

当時取り扱っていたサンフレッチェのスタジアム問題に絡めて書いているので、Jリーグ自体のことはそれほど書いてはいないが、Jリーグがいかに現状でピンチなのかというのはこの本を読むと痛いほど伝わってきた。だからこそ「1ステージ制がベスト」と公言しながらも2ステージ制を導入したのは苦渋の決断だった事と思う。

2ステージ制の最も大きな理由は1stステージ、2ndステージと区切りをつけることでそれぞれ見どころを多くするというもの。そして一番の目的はポストシーズン制のチャンピオンシップ(以下CS)を開催する事し、ゴールデンタイムに地上波放送を実現させることだった。「メディアへの露出を増やす」というはっきりとした狙いがあった。

結果はどうだったか。

年間勝ち点も絡む複雑なCS方式によってステージ制そのものの意義が薄くなってしまい盛り上がりに欠けた感は否めない。ステージ優勝したからと言ってCS決勝戦に出られるわけではなく、タイトルとして扱われるわけではない。チェアマンがステージ優勝のトロフィーを渡しても、選手がそれほど喜んだ様子は見られなかった。特に1stステージは「通過点」という認識が強い。昨年、広島の森保監督が一貫して「(CS出場権のある)年間勝ち点3位以内を目指す」と言い続けていたのはそれを象徴していた。

存在意義があいまいな1st、2ndの順位を常に把握していたサポーターがどれだけいたのだろうか。さらに年間勝ち点で残留争いをしているチームに至ってはそれぞれのステージ順位など気にしている場合ではない。1st、2ndでの見どころを増やすという狙いが実現できたかどうかはかなり疑問だ。

CS制度は一定の成功を収めた

一方で明らかに露出が増えたのはCSだ。昨年同様第一戦、第二戦ともゴールデンタイムでの地上波放送は実現し、普段Jリーグを見ない視聴者層が試合を目にする事になった。この方式がなければTwitterを中心としたSNSでもここまで話題になることはなかっただろう。これまで1年間積み上げてきたものがこの戦いで決まるという理不尽さは、同時にこれ以上ない緊張感を生む。似たような方式のJ2プレーオフの是非も問われる事があるが、それでも多くの人の関心を引きつけるのは「一発勝負の魅力」に他ならない。プロ野球のクライマックス制度が商業的に成功していることから、Jリーグに導入されたポストシーズン制であったが、プロ野球ほどの盛り上がりには及ばないものの1ステージ制では得る事が出来ない面があるのは間違いない。そして興味がない人にJリーグに少しでも関心を持たれたのはCS制度のメリットだ。

最後に私見。

先述のとおりJリーグは、2017年シーズンからは1ステージ制に戻ることになる。「最低5年は続けたい」と言っていた2ステージ制をDAZNの放映権収入が入った途端に1ステージ制に戻すのも、それはそれで節操がない気がするが、多くのファンは歓迎しているようだ。2年間の2ステージ制でハッキリしたのはプレーオフを開催するのはメディアの露出、興業的に一定の効果があるという事だろう。

もし今後もプレーオフを開催するのであれば、年間優勝を決める通常のリーグ戦が終わった後に、DAZNマネーを投入し上位6チームくらいで優勝賞金を争う形にするのもありだと思う。年間優勝はリーグチャンピオンとして扱えば、そこまでのリーグ戦が無駄になる事はない。そのプレーオフにACL出場権を掛けて戦えば、初戦から見どころもあるはずだ。JリーグがDAZNマネーをどのように使うかわからない部分が多いが、こういった使い方も一つの手だと思う。

「お金が入って1ステージ制に戻るから良かったね」ではなく、この2年間の2ステージ制の功罪はJリーグはキッチリと検証する必要があるだろう。そうでなければサポーターがあれだけ反対を訴えながら、2年間ともCS制度に敗れ去った浦和の選手とサポーターが浮かばれない。

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