カープとサンフレッチェの扱いの差はどうすれば埋まるのか?

広島のローカルスポーツ番組「元気丸」で佐藤寿人選手の会見が「引退会見」とテロップ表示されるミスが起きた。その直後から、寿人選手の移籍に対してナーバスになっていたサンフレッチェサポーターは、扱い時間が短かった事も相まってTwitterで大荒れになっていた。

”退団”と”引退”を間違えて打ち込んだのか、黒田引退会見のテロップを流用しようとして失敗したのかは定かではないが、敬意に欠けると言われても仕方がないミスではある。しかしあってはならないミスも、時には起こりうる。翌日のニュース番組でも冒頭に謝罪があった。それでもサポーターが執拗に攻撃を続ければ「サンフレは面倒な案件だから扱わないほうがいい」と判断されて扱いそのものが消滅するだけで、何一つ良いことなどない。それでもこれだけサポーターが怒るのも、カープとサンフレッチェの扱いに大して忸怩たる思いがあるからだともいえる。

ニュースバリューの高い情報発信を

そもそもファンの母数が違い、需要と供給の差と言ってしまえばそれまでだが、カープとサンフレッチェの扱いの差は今までも散々言われてきたことだ。カープと地元メディアのつながりは深い。優勝パレードはNHKを含む全ての放送局で生中継が行われた。普通に考えれば狂気の沙汰だし県民以外は理解できない感覚かもしれないが、広島では当たり前の事だ。放っておいてもカープは取り上げてもらえる。このような環境下でサンフレッチェが広島のメディアに取り上げられるにはどうしたら良いのか?

それは「鮮度のある情報発信をする」ことではないだろうか。言い換えれば「ニュースバリューの高い情報を提供する」ことだ。

今年度の感謝の意を込めてスポンサー・官庁へのあいさつ回りをサンフレッチェの選手達が手分けして行ったとのニュースが報道されたのは良い例だ。普通に役員やクラブ職員が回っていたのではニュースとしての価値はほとんど無いが、こうして普段と違う試みをすれば「ニュースバリューが高いもの」として地元メディアは報道する。もっともこの行動は選手会の発案とのことで、森崎浩司引退、佐藤寿人退団と看板選手を失う事の重大さを理解しているのはクラブよりも選手達自身なのかもしれない。

情報は鮮度が大事

ニュースの価値があるグッズを素早く販売すれば、メディアが取り扱う可能性は高くなる。最たる例はカープ優勝時の”ビールかけTシャツ”だ。広島のデパートやスーパーなどで優勝翌日に販売され即完売。その状況を地元メディアは報じ、しばらくの間は入手困難な状況が続いた。はっきり言ってしまえばデザイン的には何てこと無いものだが、あのタイミングで素早く販売された事に価値があり、ニュースとして取り上げられる。

対するサンフレッチェはどうか?

ピーターウタカ選手の得点王記念Tシャツを販売する事がリリースされたのが11月25日。リーグ最終戦が終了し得点王が確定した11月3日から3週間以上も経ってしまっている。これでは残念ながらニュースとしての価値は低いと言わざるを得ない。

サンフレッチェにグッズ販売に力を入れれるほどのスタッフがいないのはよくわかる。過去にスタジアム問題を取り上げていた中でも何度も感じた。ただ販売する事があらかじめ予定されていたのであれば、得点王が確定した時点ですぐに情報を発信する事もできたのではないだろうか?これは人がいる、いないの問題ではないと思う。

大なり小なり方法はいくらでもある

先日中国新聞に「地元女子大生が考えるサンフレッチェ集客増」という内容の興味深い記事が掲載されていた。集客のための提案や分析がいくつか書かれていたが気になった点は

・19~22歳(大学生層)の割合がリーグ平均よりも低い

・試合日がわからないからアルバイトのシフトが組めない。

・クラブはもっと情報発信を

というものだ。

多くの試合が組まれる野球と違って、サッカーの試合は平均して月に2回程度しかない。しかも土曜日開催がほとんどで、サービス業で働いている大学生が行きにくいのはよくわかる。土日は繁忙期で出勤を要望されることも多いだろう。コアなサポーターは年初に日程が発表された時点で試合日を頭に叩き込んでいるだろうが、多くの人はいつ試合があるのかわからないということだ。若年層を増やしたいのであれば、この層にむけた情報発信は重要になってくるはずである。

前社長の小谷野薫氏はインタビューで「サンフレッチェが広島で埋没しないためには、コアでもライトでもいいから情報発信をすることだ」との持論を語っている。全く同感だ。もちろん情報発信をしたからといって簡単に取り上げられるものではないし、成果の無い場合のほうが圧倒的に多いだろう。それでも現状を良しとしているのであれば、今後サンフレッチェが今より扱いが良くなる事などあり得ない。情報の発信方法はいくらでもある。小谷野氏が語っていたようにラジオ局などのメディアをクラブ自身が持つという発想だってある。プロブロガーにサンフレッチェのPRをしてもらいアフィリエイトで報酬を払うこともアリかもしれない。馬鹿馬鹿しい発想だと一笑に付されるだろうが、カープ王国の広島ではこれくらい考えないと、娯楽コンテンツの一つとして本当に埋没しかねないのだから。

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